300th 大丸創業300周年

好本社長に入社以来の思いと、今後の展望を伺いました。

—2017年に大丸は創業300周年を迎えますが、今の率直なお気持ちをお聞かせください。

 日本には創業100年以上、200年以上という企業が多くあります。これは世界的に見てもとても珍しいことです。大丸も幸いなことに、こうして300周年を迎えることができ、皆さまへの感謝の気持ちを強くしているところです。どの企業でもそうでしょうが、創業以来ずっと順風満帆ということはなく、必ず会社存続の危機があったはずです。それでもこうして300周年を迎えられたのはやはり先人の時代の先を読む目と、時代への適応力があったからこそ。彼らの慧眼と対応力に頭が下がる思いです。

—大丸が300年存続できた理由は何でしょうか

 私たち大丸松坂屋百貨店の社員であれば必ず知っている言葉があります。それは、大丸の業祖・下村彦右衛門によって定められた「先義後利」という理念。この語は、荀子の栄辱編に現れており「義を先にして利を後にする者は栄える」という意味です。企業は利益を追求することが求められますが、それだけではいずれ人々に見放され衰退してしまうでしょう。創業以来、社員全員が利益よりも、関わる皆様への義理を果たすことを優先し、仁義に則った行いを心掛けてきたことが、今の大丸が存続している理由だと思います。

—好本社長は1979年に大丸に入社されていますが、当時はどのような新入社員でしたか?

 最初に配属されたのは大阪の心斎橋店でした。大阪は他の地域に比べて百貨店好きのお客様が多く、活気がありましたね。婦人服部の担当になったのですが、職場スタッフもお客様も自分の母と同じくらいの年齢。女性ばかりの環境に戸惑いながらも、とにかく必死になって販売していたのを思い出します。

—仕事をする上で心掛けていることはありますか?

 入社間もない頃、婦人服部の男性の先輩に言われて今でも大事にしている言葉があります。それは「人の話は、分け隔てなく平等に聞きなさい」という言葉。仕事は大人数が一緒になって進めていくもの。ですから誰にでも同じスタンスで接し、一人ひとりの声を幅広く聞くことが大事だという教えです。これを実践することで誰とでも良好な関係を築くことができ、偏りのない判断が下せると考えています。
 もう一つ大切にしているのは、「相手の長所を見ること」。どうしても短所に目がいきがちですが、短所ばかり見ていては何も生まれません。必ず相手の長所を見つけ、それを伸ばすためにはどうするかと考える。それが、対人関係では大切だと思います。

—入社されてからこれまでの中で一番印象深いエピソードはありますか?

 新店の立ち上げを2店舗担当させていただいたことです。1店目は2003年の札幌店の開業。そして2店目は2007年の東京店の移転です。
 1店目の札幌店では、「ゼロから百貨店をつくる」ことに挑戦させていただきました。当時札幌への出店は採算が取れるか疑問視されていました。そこでこれまでとは全く異なるアプローチで、運営コストの効率化を図り、社員の配置も売場ごとに適正な人員、役割を明確にすることで少数精鋭体制を実現しました。これは後に「札幌モデル」と呼ばれることになりますが、業界でも革新的な取り組みにより、初年度から黒字化を達成することができたのは大きな経験となりました。
 また2店目の東京店の移転では、「既に築かれているものを崩していく」という意味で、大きな経験となりました。既存のやり方を大胆に変えたので、もちろん現場からは反対の声も出ました。しかし、なぜ、変わらなければならないのかをしっかりと説明し、古い仕組みを新しい仕組みに変えていく経験は貴重なものになりました。

—次の100年に向けてどのようなことが必要だと思いますか?

 人々の生活スタイルや暮らしが大きく変わっていく中で、私たちも変わっていかなければ、先はないと考えています。これまで大丸は小売業らしいアイデアで、お客様に驚きを届けてきました。今後もお客様のライフスタイルに合わせた斬新な提案が必要です。そのためには経営陣だけでなく、社員一人ひとりも時代の先を見据え、新たなアイデアをカタチにしていく必要があると考えています。

—最後に皆様へのメッセージをお願いします。

 大きく時代が変わる中、これからも皆さまに新しい価値をご提案し、先人が残してくれたものを次代に受け継いでいけるよう、社員一同、決意を新たにしているところです。今後もご愛顧いただきますようよろしくお願いいたします。

好本達也社長 インタビュー写真
好本達也社長 インタビュー写真
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